【働き方改革】文科省がフォーラム 全国の優良事例発表

【働き方改革】文科省がフォーラム 全国の優良事例発表
働き方改革の優良事例が発表されたフォーラム
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 文科省主催「学校の働き方改革フォーラム」が1月31日、都内で開かれ、長時間労働の是正などで効果的な取り組みを実施している教育委員会や学校が発表した。カリキュラム・マネジメントや職員室の改善など多様な工夫で、長時間労働の是正や働きやすい職場環境づくりに成功した事例が報告された。

 学校の働き方改革が本格化する中、改革の優良事例の紹介をメインにした催しは文科省としては初の試みで、学校関係者ら約500人が参加した。

 今年度から「学校教育改革プラン」を実施している茨城県守谷市教育委員会では、新学習指導要領で授業時間数が増加し、児童生徒の下校時刻が遅くなることへの懸念や、教員の教材研究の時間などを確保する目的から、各学期の始業日や終業日、休日だった「県民の日」などで授業を実施するなどして、週3日を5時間授業にした。

 その結果、教員が放課後に教材研究や打ち合わせをする時間を確保できるようになっただけでなく、児童生徒にとっても、放課後の過ごし方の充実につながった。

 同市教委の奈幡正指導室長は「働き方改革と子供の学びの質向上は矛盾しない。勤務時間の上限を決めるだけでは、教員の業務を変えることは難しい。だからこそ『形』を変える必要がある」と強調した。

 3年前から教員の長時間労働の改善に取り組む名古屋市立東築地小学校では、通知表の所見欄の記入を3学期のみにしたり、学校行事を見直したりなど、思い切った業務量削減を実施。さらに、担任を持たない教員を「7学年チーム」として組織化し、外国籍児童の日本語指導や高学年のサポートなどに回れるようにした。

 伊藤葉子校長は「働き方改革を進めるうちに、教員の長時間労働の解消だけでなく、働きがいや働きやすさも考えなければいけないと思うようになった」と振り返った。

 群馬県富岡市立富岡小学校では、学校の業務を「やめる」「減らす」「変える」「始める」の4つの視点で見直し。登下校時刻の変更や学級便りの廃止、3年生以上での教科担任制の導入、運動会の半日開催化などに踏み切った。

 また、職員室は職員の動線を考慮して机の配置を見直し、机の上にはノートパソコンだけを置くようにして、教員同士のコミュニケーションを促進。担任を持たない教員が給食指導に入り、その時間に担任が職員室でランチミーティングをできるようにした「ローテーション給食」も始めた。

 吉田悟校長は「教職員の意識が変わり、自分事として捉えたり、チームワークを意識したりできるようになった。働き方改革は、今まで当たり前だったものを大胆に見直しつつ、学校全体で目的を共有するなど、慎重さも求められる。教職員からの提案を取り入れて、ボトムアップで進めることも重要だ」と参加者に助言した。

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